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シナリオ

魔法薬師見習いの日常

昼前、工房の扉を叩いたのは、見るからに育ちのよさそうな青年だった。 金色の髪。青い瞳。仕立てのいい上着。 物語なら、黙って立っているだけで娘たちが頬を染めそうな美青年だ。 「惚れ薬を売ってほしい」 その美青年が、師匠の前で真剣な顔をしている。 薬草を束ねていたあたしの手が止まった。 師匠は止まらなかった。 「まーたお前は……」 「金なら払う」 「そういう問題じゃない」 「彼女は私を嫌ってはいない。ただ、どうしても首を縦に振らないんだ」 師匠が面倒くさそうに眉を上げた。 「理由は?」 「身分が違う、って」 青年は伯爵家の三男坊。 相手は、その家で働く使用人の娘なのだという。 「何度言っても駄目なんだ。私が本気だと言っても、あなたはいずれ相応しい方と結婚なさるから、と」 「まともな娘じゃないか」 「だから困っている!」 師匠が深いため息をついた。 あたしはこっそり青年を見る。 こんなに格好いい人に好きだと言われても断るなんて。 もったいない。 「リリィ」 「はいっ」 「顔に出てるぞ」 慌てて薬草に顔を戻した。 しばらくして師匠は立ち上がり、棚の一番上から小さな桃色の瓶を取り出した。 「一滴だけだ」 青年の顔が明るくなる。 「惚れ薬か!」 「違う。そんなものは売らん」 「では、これは?」 「ほんの少しだけ、相手への好感を強くする」 「どのくらい?」 「嫌いじゃない、が、ちょっと好きかも、になるくらいだ」 青年が瓶を見る。 「……それだけ?」 「それだけだ」 「もっと強いものは」 「帰るか?」 師匠は笑顔だった。 こういうときの師匠は、たぶん本気で怒っている。 青年は渋々、小瓶を受け取った。 「一滴だぞ。二滴入れても効果は倍にならん」 「分かった」 「それから」 師匠は代金を受け取りながら言った。 「それで駄目なら諦めろ。薬でどうにかする話じゃない」 青年はしばらく黙って、それから小さく頷いた。 扉が閉まる。 あたしは師匠を見る。 「師匠」 「なんだ」 「あれ、本当に好感度が上がる薬なんですか?」 師匠は銀貨を数えながら答えた。 「ただの苺シロップだ」 「えっ」 「少し甘いものを一緒に食べれば、多少は機嫌もよくなるだろう」 「詐欺じゃないですか!」 「失礼な。苺シロップとしては最高級品だ」 師匠は銀貨を一枚、指ではじいた。 「惚れさせるところまで薬屋の仕事にされたら、たまらんよ」 あたしは桃色の小瓶が消えた扉を見る。 あの人がうまくいくかどうかは分からない。 でもまあ。 おいしい苺なら、少しは役に立つかもしれない。

「惚れ薬を売ってほしい」――工房を訪れたのは、使用人の娘に恋をした伯爵家の三男坊。身分違いを理由にどうしても振り向いてもらえないという青年に、師匠が差し出したのは小さな桃色の瓶だった。魔法薬師とその見習いリリィの工房で起きる、ちょっとおかしな恋のお話。

制作方法
AIと人間の複合制作
使用AIツール
ChatGPT
年齢区分
全年齢
ファンタジー 魔法 魔法薬 恋愛 師弟 貴族 コメディ 掌編

他クリエイターへの共創リクエスト

伯爵家の青年と使用人の娘は、苺シロップをきっかけにどうなるのでしょう。二人のその後や、師匠とリリィの工房を訪れる新しい客など、自由に物語を広げてください。

他クリエイターへの禁止事項

特になし

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