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シナリオ

魔法薬師見習いの日常2

ばああああん! と、午後、工房の扉が勢いよく開いた。 「ごきげんよう」 黒い長髪を揺らして入ってきたのは、王室お抱えの大魔女、セレナ様。 国一番の美女と謳われるその人は、今日も完璧だった。 艶やかな黒髪。 白い肌。 宝石を散りばめた漆黒のドレス。 街を歩けば誰もが振り返り、王宮では国王陛下さえ一目置くという。 そして、師匠の元奥さんだ。 「師匠なら出かけてますよ」 「聞いてないわ」 「……はあ」 「別にあの人に会いに来たわけではないもの」 「……へえ」 「近くまで来たから寄っただけよ」 「王宮って、ここから馬車で一時間ですよね」 セレナ様があたしを見る。 「リリィ」 「はい」 「あなた、最近少し生意気になったんじゃない?」 怖い。 さすが大魔女。 目だけで人を蛙にできそうだ。 「お茶を淹れますね!」 「ありがと。いただくわ」 魅惑のナイスバディが当然のように師匠の椅子に腰掛けた。 お茶を出すと、セレナ様は優雅にカップを持ち上げる。 「それで」 「はい」 「最近、どうなの?」 「何がです?」 「だから……」 長い睫毛が、ちらりとあたしを見る。 「ここよ」 「ここ?」 「女が来たりしない?」 来た。 これだ。 セレナ様がここへ来ると、だいたい最後はこの話になる。 「女のお客さんなら来ますよ」 「客じゃないわよ」 「じゃあ、薬草屋のおばあちゃん?」 「若い女!」 「最初からそう言ってくださいよ」 カップが音を立てて置かれた。 セレナ様は咳払いをして。 「別に気にしてないけど」 「はあ」 「離婚したんだから、誰と付き合おうがあの人の自由よ」 「まあ」 「でも、あの人に付き合える女なんている?」 「……さあ?」 「朝は弱いし、服は脱ぎっぱなし。お酒は飲むし、気が向いたら三日くらい工房に籠もるし。ああ見えて実は嫉妬深いし、寝るときなんか――」 「セレナ様」 「何よ」 「詳しいですね」 黙った。 みるみる耳が赤くなる。 「……結婚してたんだから当然でしょう!」 「あ、はい」 「なによ、その顔!」 「何も言ってません」 セレナ様は残りのお茶を一気に飲んだ。 国一番の美女は、こういうときだけ全然優雅じゃない。 「そもそも、あの人が悪いのよ」 「何したんです?」 「知らない」 「え?」 「もう忘れたわよ、そんな昔のこと!」 「じゃあ、なんで離婚したんですか」 「……」 「セレナ様?」 「知らないったら知らない!」 ふくれっ面の大魔女の顔なんて、私くらいしか見た事ないんじゃなかろうか…。 しばらくして、セレナ様はため息交じりに言う。 「……リリィ」 「はい」 急にさっきまでの勢いがなくなった。 「本当に、いない?」 「何がです?」 「だから……好きな人」 「え、私ですか?」 「なわけ!……じゃなくて、その、なんていうか、つまり」 「つまり――?」 続きを促すと、セレナ様は小さな声で耳打ちするみたいに、あの人、と言った。 今度は、ちゃんと分かった。 「いないと思いますよ」 「……そう」 ほんの少しだけ、セレナ様の口元が緩んだ。 でもすぐに、いつもの澄ました顔に戻る。 「まあ、私には関係ないけれど」 「はあ」 「本当に関係ないのよ?」 「はあ、分かってます」 「ならいいわ」 立ち上がり、黒髪をさらりと払う。 「邪魔したわね」 「師匠に何か伝えます?」 「必要ないわ」 「セレナ様が来たことも?」 扉に手をかけたまま、止まった。 「……別に」 小さな声。 「言いたければ、言えばいいんじゃない」 ぽっと頬を染めながら、そうして国一番の美女は帰っていった。 夕方。 師匠が戻ってきた。 「誰か来たか?」 「セレナ様」 師匠の足が止まった。 「……何しに?」 「近くまで来たから寄っただけだそうです」 「王宮からここまで一時間かかるぞ」 「ですよね」 師匠はしばらく扉を見ていた。 「で?」 「何がです?」 「……いや。なんでもない」 そのまま奥へ行ってしまう。 あたしは薬草を束ねながら、ため息をついた。 惚れ薬が必要なのは。 案外、あの貴族のお兄さんじゃなかったのかもしれない。

王室お抱えにして、国一番の美女と名高い大魔女セレナ。完璧に見える彼女にも、たったひとつ思い通りにならないものがある。それは――別れた元夫。本人には聞けないあれこれを、今日も見習い魔法薬師リリィに探りに来て……。素直になれない大魔女様の恋愛事情。

制作方法
AI生成
使用AIツール
ChatGPT
年齢区分
全年齢
ファンタジー 魔法 魔法使い 魔法薬 恋愛 元夫婦 師弟 ラブコメ 掌編

他クリエイターへの共創リクエスト

素直になれないセレナと、何を考えているのか分かりにくい元夫の師匠。二人の結婚時代や離婚の理由、再び距離が縮まる出来事など、自由に描いてください。リリィが二人に振り回されるお話も歓迎です。

他クリエイターへの禁止事項

特になし

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