シナリオ
七時十二分
朝の通勤ラッシュでごった返す駅のホームで、腕時計を見る。
七時十二分。
いつもなら、もう階段を下りてくるころだ。
ちらちらと階段を見る。
いつも彼は紺の細身のスーツ。眼鏡をかけて、耳にはイヤホン。
話したこともない。
けど、なんとなく、目が合う。視線が絡む。
たぶん、彼は……。
その人には、面影があった。
小学生のころ、同じクラスだった男の子。
放課後になるといつも校庭にいて、あたしのことを見つけると、遠くからでも大きく手を振った。
転校して、それきりになったけど、あの頃貸してくれた消しゴムは、実はまだ持っている。
ずっと机の引き出しの奥にしまってある。
なんだか捨てられなくて。
大人になった彼に面影がある気がする、なんて。
そんな曖昧な記憶だけで声をかける勇気はなくて、毎朝、同じホームで見かけるようになって三か月が過ぎた。
でも今日は、決めていた。
今日こそ聞いてみよう。
――もしかして、覚えてない?
七時十三分。
来ない、な。
『まもなく一番線に電車が参ります』
聞き慣れたアナウンスが流れる。
今日に限って来ないんだ。
勇気を出そうって決めた日に限って。
こういうのが、縁ってことなのかな。
電車がホームへ滑り込んでくる。
風が髪を巻き上げた。
これに乗らなきゃ、会社に遅れる。
もういいや。
小学生のころの淡い恋心なんて、このまま誰にも知られずに終わるんだろう。
開いたドアに足を踏み出しかけて。
「待って!」
声がして、振り返る。
階段を駆け下りてくる人がいる。
声を聞くのは初めてだ。
彼はそのまま駆けてきて、あたしの前で立ち止まった。
「あの」
発車ベルが鳴る。
「ずっと似てると思ってたんだけどさ」
彼が笑った。
その笑い方を、知っていた。
「やっぱり、お前だ」
電車のドアが閉まる。
「……覚えてる?」
少し不安そうに聞くから、小さく頷いた。
「うん。覚えてる」
いつもの電車は、あたしたちを置いてホームを出ていった。
次の電車が来るまで、あと七分。
「そういえばさ」
「うん?」
「昔、消しゴム貸したの覚えてる?」
思わず笑った。
「……まだ持ってる」
「え?」
今度は彼が、あの頃みたいな顔をした。
七分じゃ、たぶん足りない。
小学生だった二人の思い出や、再会したこの日の続きなど、二人の別の時間を自由に描いてください。
- 制作方法
- AIと人間の複合制作
- 使用AIツール
- ChatGPT
- 年齢区分
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