シナリオ
魔法薬師見習いの朝
朝一番の仕事は、師匠のお茶を淹れること。
その次が、薬草棚の整理。
それから昨日仕込んでおいた魔法薬を、弱火で三分。
――のはずだった。
「師匠! 師匠、師匠、師匠!」
「朝から三回も呼ぶな。私は一人しかいない」
奥の部屋から、寝起きの師匠が出てくる。
白いシャツの襟元は開いたまま。いつも後ろへ撫でつけている銀混じりの髪も、今朝は好き勝手な方向を向いている。
それでも格好いいのが、なんだか腹立たしい。
「鍋が!」
「鍋が?」
「紫です!」
「見れば分かる」
ぐつぐつ。
鍋の中では、本来なら薄桃色になるはずの惚れ薬が、毒々しい紫色の泡を吐いている。
「何を入れた」
「月見草を三枚と、朝露を五滴と、ユニコーンの角をひとつまみ」
「それから?」
「それから……」
大きな魔女帽子が、ずるりと目元まで落ちてきた。
両手で押し上げる。
「……カエルの涙を」
「何滴」
「一滴」
師匠が黙った。
「二滴だったかもしれません」
まだ黙っている。
「……三滴?」
「リリィ」
名前を呼ばれた。
この声はまずい。
「はい」
「逃げろ」
「え?」
ぼこん。
鍋が大きく膨らんだ。
「きゃあああ!」
爆発した。
紫色の煙が工房いっぱいに広がる。
しばらくして煙が晴れると、床に尻もちをついたあたしの前に、師匠が立っていた。
頭から紫色の液体をかぶって。
「……師匠」
「なんだ」
「怒ってます?」
「怒っていない」
絶対怒ってる。
師匠が深いため息をついた。
そして、あたしの目元までまた落ちてきた帽子を、指一本でひょいと持ち上げる。
「怪我は?」
「……ないです」
「ならいい」
それだけ言って、師匠は背を向けた。
「あ、師匠」
「今度はなんだ」
「その薬、惚れ薬です」
師匠の足が止まった。
ゆっくり振り返る。
「……それを先に言え」
「でも失敗作だから、効かないと思います」
「思います?」
「たぶん」
「リリィ」
「はい」
「今すぐ解毒薬を作れ」
「はい!」
「いや待て。私が作る。お前は触るな」
「はい……」
今日も朝から、修業は順調とは言い難い。
でも。
ずり落ちた帽子の向こうで、師匠がほんの少し笑っていたから。
たぶん、破門はされない。
今日のところは。
魔法薬師見習いのリリィは、今日も朝から調合失敗。大きな魔女帽子をずり落としながら慌てる弟子と、それを見守るイケオジ魔法使いの師匠。惚れ薬をめぐる、にぎやかな師弟の朝の掌編です。
- 制作方法
- AI生成
- 使用AIツール
- ChatGPT
- 年齢区分
- 全年齢
ファンタジー 魔法 魔法使い 魔法薬 師弟 コメディ 日常 掌編
他クリエイターへの共創リクエスト
ドジな見習いリリィと、なんだかんだ面倒見のいい師匠。二人の別の日の修業風景や、失敗した魔法薬が引き起こす騒動など、自由に描いてください。
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特になし
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